麻疹(はしか)の流行状況とワクチン追加接種の必要性について【2025年版】
近年、世界的に麻疹(はしか)の流行が再燃しており、日本でも輸入例を中心に症例が増えています。当院では、地域の皆さまが安心して生活できるよう、最新情報と予防接種の重要性について解説します。
世界と日本の流行状況
- 世界的流行:東南アジア(ベトナム・カンボジア・モンゴル・フィリピンなど)で麻疹が急増。WHOによると西太平洋地域では2022~2024年で報告数が743%増加。
- 日本国内:2025年4月時点で78例が報告され、すでに前年(45例)を上回っています。特に国際的な人の移動に関連する症例が多く、大阪・関西万博などイベントに伴うリスクも指摘されています。
年代別の感染状況(日本)
2025年第1~13週(58例)では、年齢中央値26歳(0~73歳)でした。全年代に分布しますが、特に20代~30代前半の若年成人層で多く報告されています。
- 0歳:9%(定期接種未到達)
- 1~4歳:9%
- 20代:28%
- 30代:19%
- 40代:16%
接種歴別の特徴:
- 未接種:約29%
- 1回接種:約17%
- 2回接種:約21%
- 接種歴不明:約33%
→ 未接種・不明・1回接種に偏って発症しており、免疫ギャップが浮き彫りになっています。
福岡県の麻疹発生情報R7

年代別のリスクと症状の傾向
- 0歳児:定期接種前で重症化リスクが高い。肺炎・中耳炎・けいれんの合併症に注意。
- 妊婦:流産・早産のリスク増。妊娠中は生ワクチン禁忌。
- 若年成人:高熱・強い全身症状、入院率上昇。社会活動が活発な世代で集団感染の中心。
- 免疫不全者:重症化・致死的経過のリスク。曝露後対応を含め特に注意が必要。
ワクチン接種の基本と追加接種(ブースター)
定期接種:MRワクチン(麻疹・風疹混合)を1歳と就学前(5~6歳)の計2回。
追加接種を検討すべき方:
- 未接種、1回のみ接種、接種歴が不明な方
- 医療・教育・保育・接客など人と接する職業
- 海外渡航予定者(流行地への渡航は特に要注意)
- 家族に0歳児・妊婦・免疫不全の方がいる場合
接種歴が不明な場合、抗体検査を待つよりも速やかなワクチン接種が実務上推奨されます。
よくある質問(Q&A)
Q. 妊娠中ですが接種できますか?
A. 妊娠中は生ワクチン(MRワクチン)は禁忌です。妊娠を希望する方は妊娠前に接種してください。
Q. 授乳中ですが接種は可能ですか?
A. 授乳中の接種は可能です。母乳への影響はありません。
Q. 抗体検査は必ず必要ですか?
A. 接種歴が不明な場合、抗体検査で確認する方法もあります。ただし流行期や渡航前は時間をかけず、接種を優先することが勧められます。
Q. 副反応はありますか?
A. 発熱・発疹が接種者の5~20%にみられますが、通常は軽度で自然に回復します。重篤な副反応は非常に稀です。
当院での接種のご案内
神代医院では、麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)の接種を行っています。
- 接種料金(自費):9,900円(税込)(目安)
- 完全予約制:在庫管理のため必ず事前予約をお願いします
- 電話予約受付可能 092-822-3533
まとめ
- 麻疹は若年成人層を中心に増加傾向。
- 未接種・接種歴不明の方は追加接種が重要。
- 0歳児や妊婦などハイリスク層を守るために、家族や周囲のコクーン戦略も大切。
麻疹は「子どもの病気」ではなく、全年代で感染・重症化が起こり得ます。ご自身と大切な人を守るため、接種歴を確認し、必要に応じて追加接種をご検討ください。
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